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舞が、今日の話を面白おかしくいじってくる。
「今回は誰の妄想だったのー??かずくん?ゆうまくん?もしかして…太田くん?」
舞が探りを入れてくる。…いや!にしても、太田くんだけはない!
太田くんは、呼び方からもわかるように1人だけ苗字で呼ばれるほど、クラスでもトップクラスの問題児だ。
あんなにおっかない人と一緒だなんていくら妄想の中でもごめんだ。
私はムッとした顔を向ける。
すると舞は何かを思い出したかのように笑みを浮かべ、
続ける。
「やっぱり朋華の王子さまは友一さまだよね!」
その名前を聞いて、私は顔を真っ赤にする…
そして、私は漸く口を開いた。
「そ、そんな、私が友一くんと釣り合うわけなくて、
例え妄想だとしてもおこがましくて…」
私の返答が来て余程嬉しいのか、舞はニヤついている。
友一くんは、幼稚園からの幼なじみでとっても仲が『良かった』
今となっては背も高く、スポーツ万能で到底私なんかじゃ届きそうにもなくなってしまった。
ちなみに舞はというと、小学生中学年の頃からの友達で、今じゃ親友だ。
小学生低学年の頃の事件により、私が友一くんと距離を置いた経緯を知る由もない。
だからこそ、私があの友一くんと幼なじみなことに漬け込んだ話を遠慮なくしてくる。
少しは遠慮してよぉぉ…
そうは思えど舞は知らないのだから仕方もないか。
舞の何かを企む顔を見ながら次の質問に身構えていると、舞が唐突に前を向いた。
ふと時計に目をやるもいつもの舞ならまだ話を盛り上げる時間帯だ。
…ということは、、、
気づかれぬように、顔を固定したまま、
横に視線のみをずらす。
そう。隣はあいつ。つまり太田だ。
席替えがくじとはいえ、
確率は相当なはず。
私はどれだけ、くじ運が悪いのだろう…
まぁ、私がどんなに奇行や愚行や怠惰でも、
軽い注意で済んでいるのは、
私が平々凡々でごくごく普通な生徒だということと、
隣が太田だからだろう。
少し感謝をしかけた時に、先生に目をつけられるのも、
太田が隣にいるからだということにも気づいて、感謝もどこかへ行ってしまった。
次の瞬間から、私の心の中ではいつもの憎悪の感情が渦巻いていた。
そして、現状に落胆しながら次の授業に入った。
(友一くん今、何してるのかなぁ。)
そんなことを考えながら、隣のクラスの時間割を思い出す。
今は確か体育だ。絶対かっこいいに違いない。
ほかの女子が見て惚れるのを想像するところは実に容易い。それほど魅力的なのだ。
ほかの女子に嫉妬しながら、私は友一くんの何でもないという事実に悲しくなる。
あの時、私が正直になれていればなぁ…
悔やんだって戻れない。
あの時と言うよりあのころ。
あの事件だ。
小学生低学年の頃。
私と友一くんは、
幼稚園からエスカレーター式で同じ小学校へと入学した。
家が近かったこともあり、母親同士も仲が良く
同じ幼稚園の子たちも羨むほどの仲の良さだった。
それだけなら良かった。
友一くんは、その頃から群を抜いており、
整った顔立ちに加えて足が抜群に早かった。
つまり、爆モテ男子の誕生である。
そんな友一くんとの距離が近いと、周りもはやしたてる。
男子は友一くんを妬んでいたのだろう。
そこで私たちの関係に付いた名前が、
朋華と友一で、「とも」カップルだ。
ほんとにくだらない。
だけど、私はその呼び方がずっと嫌だった。
そもそも、友一くんは「ゆういち」であり、「とも」ではない。こじつけだ。
それでも、いじってくる彼らが子どもであるように、
私もその時は経験の極浅な子ども。
私は照れてしまい、友一との距離を置き始めたのだ。
そして、あそこまで仲が良かったのに巡る時間の中で色々通して、私たちは今となっては疎遠になってしまった。
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